多様性予測定理
集団の知恵
- ゴルトン(Francis Galton)の有名な研究において、787 人の一般の人々が牛の体重を推測した。
- 各参加者の推測値を平均して「集団の予測値」を計算し、その値が実際の牛の体重に非常に近いことが示された。
この実験は「集団の知恵」(Wisdom of the Crowd)として広く知られています。集団全体の誤差を計算する場合、各個人の誤差の平均を取るよりも、集団全体の平均予測値と実際の値との差を見るのが一般的。つまり、集団の誤差はしばしば以下のように計算される。
\[ \text{集団の誤差} = ( \text{集団の平均予測値} − \text{実際の値})^2 \]
この計算は、集団全体の推測がどれほど正確であったかを評価するために用いられます。
数式
全体の平均二乗誤差(MSE)が、集団の平均誤差と各個人の予測値が集団の平均からどれだけずれているか(バラつき)の和であることを示す。 bar y は集団の平均予測値。N はサンプルサイズ。
\[ \frac{1}{N} \sum_{N=i}^{N} (y_i - \text{True Value})^2 = (\bar{y} - \text{True Value})^2 + \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} (y_i - \bar{y})^2 \]
ちなみに、MSE(平均二乗誤差) は下。
\[ \text{MSE} = \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} (y_i - \text{True Value})^2 \]
つまり、集団の誤差((集団の平均予測値 − 実際の値)^2)は MSE - 多様性がかかった値(なぜなら、集団の平均で個々の予測値を引いているから)ということ。
ゆえに、多様性がある予測が正しくなる。
Bias と Variant から見た集団の知恵
\[ \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} (y_i - \text{True Value})^2 = (\bar{y} - \text{True Value})^2 + \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} (y_i - \bar{y})^2 \]
成分について
- バイアス(Bias): \((\bar{y} - \text{True Value})^2\)
- 集団の平均予測値 \(\bar{y}\) が実際の値(True Value)からどれほど離れているか。
- NOTE: ただしくは Bias の二乗
- 分散(Variance): \(\frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} (y_i - \bar{y})^2\)
- 各個人の予測値 \(y_i\) が集団の平均予測値 \(\bar{y}\) からどれだけばらついているか。
重要なポイント
- この数式は、集団の誤差がバイアスと分散の和であると示す。
- 多様性(分散)が高いと、それが有用な情報に基づいていれば、集団全体の予測精度(低い MSE)が向上する可能性がある。
別の言い方をすると、
\[ \text{MSE} = \text{Bias}^2 + \text{Var} + \text{Error} \]
NOTE: Error は予測がどれほど良くても削除できない基本的な誤差を示す。エラー項と呼ばれる。英語だと、irreducible error。
Bias と Variance のトレードオフ
- Bias と Var はトレードオフだが、上記の MSE の式だと Var が上がるほど、Bias が下がる
ref
- 「多様性が能力に勝る定理」 (The Diversity Trumps Ability Theorem): 政治への援用とその意義
- 偏りと分散 - Wikipedia